今回は、「危険なビーナス」(著:東野圭吾)です。
危険なビーナスは、物語としても楽しめますが、”ウラムの螺旋”や”サヴァン症候群”という聞き慣れない専門用語を知る機会になる作品になっています。
それでは、見ていきましょう。
なお、”ウラムの螺旋”や”サヴァン症候群”について早く知りたいという方は、目次から飛んでお読みください。
-------------------以下、ネタバレを含みます。------------------------------
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目次
一本の電話から始まる物語
本作は、
主人公である独身獣医の伯郎(はくろう)のもとにかかってきた一本の電話
「初めまして、お義兄様っ」から始まります。
いきなり、電話で、自分が知らない家族から電話がかかってくるのは、
驚きで、物語の複雑さと合わせて興味を惹きました。
また、活字だからこそ、 「お義兄様」で、読者は、電話している2人は、元々は家族でなく、家族になったとわかります。
活字は、漢字の持つ意味も表現できるので、改めて便利な記号だなと思いました。
実写化された際は、どのようにこの場面を表すのか気になります。
この一本の電話で、
「主人公の弟は結婚していること」、
「弟が行方不明であること」
を弟の結婚相手の女性から判明します。
サヴァン症候群とウラムの螺旋
物語には、サヴァン症候群の人物が登場します。
この人物は、頭の中に変なものが見えており、
絵画にて表現したものが「ウラムの螺旋」でした。
「ウラムの螺旋」ですが、数学を学んだり好きな人には知らない人がいないもので、素数を紐解く可能性があるものです。
私自身、素数という数字にどのような規則性があるかという命題を
視覚という視点で捉えるのは大変おもしろいことだと思います。
サヴァン症候群とは?
サヴァン症候群とは、
自閉症スペクトラムなどの障害がありながら
驚異的な記憶力や曜日、暦の計算などの突出した能力を持つ人たちのことをいいます。
ウラムの螺旋とは?
ウラムの螺旋は実際に作ってみることが理解しやすいです。
まずは、図のように、1、2、3、、、と数字を反時計回りに配置します。
※図は、36までの数字
次に、「素数」のみにチェックをつけます。(今回は、太字)
素数とは、1 と自分自身以外に正の約数を持たない自然数のことを指します。
最後に、素数以外を消し、素数をわかりやすく別の記号にします。(今回は、●)
これがウラムの螺旋です。
ただし、36の数字までだと、「なんだこれ?」ですよね。
そこで、36でなく、数多く、ウラムの螺旋を描くと、以下の図のようになります。
この図をよく見ると、なんとなく、対角線にまっすぐ●が続いていることがわかるかと思います。
ここから、素数の並びには規則性があるのではと仮説が立ちます。
つまり、素数という数字を「視覚的」に規則性を導いています。
物語では、このように、学問のニッチで面白い部分に焦点を当てており、東野圭吾さんを好きになった大きな要因です。
結末は?
物語の冒頭での一本の電話をかけてきた女性は、実は、●●で、
まさかこのような結末を迎えるかという驚きでした。
物語の真相を楽しむのも良し、学問の分野を楽しむのも良しと飽きることなく、一気に読了できるので、是非、オススメです。
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